葵屋図書館

　この春から通いはじめた福祉系専門学校。
　夢は介護福祉士。
　でもある男のせいで夢なんてなくなった……。
　ストーカー。

　特別美人でもないあたしのことを……なぜ？
　人生なんて分からないことだらけだね

　いつもあいつがあたしのことを見ているのは知ってたんだ。
　だけど、オタクでダサいし、ハッキリいって論外。
　知らないふりをしてた。

　どうせあたしに告る勇気もないんだし、つきあうことなんて夢のまた夢なんだしね。

　なのに、いつのころからか、通学の電車やバイト先のファーストフード、ピアノのレッスンの行き帰りまで、あいつがつけて来るようになったの。
　超キモイ！
　もう、その一言。

　こないだは彼氏とのデートで遊園地に行ったときまでつけてきてたの。
　デート中は気がつかなかったけどね。
　そして、その日に、あんなことが起きちゃったんだよね。

　デートからの帰り道。
　ずっとあたしを着けてきたんだ。



　アパートについて、部屋に入ったら、いきなり背中を押されて、アイツが押し入ってきた。
　背筋がさーっと凍って冷や汗が垂れるって本当にあるんだなって思ってた。
　びっくりしすぎたときって、叫び声なんて出ないんだよね。
　キャアって言ったのは、あいつが入ってきて、あたしの胸をブラからつかみ出したときだった。

「俺の気持ち知ってるくせに。なんて女なんだ」
　あいつはそのままあたしを犯して去っていった。
　家に着いたってメールがないのを心配して、あたしを探しにきた彼氏が入って来たとき、まだ私は裸でボーっと座ったままだった。