葵屋図書館

　進学せずにフリーターになったあたしは、時給のいい夜間のシフトを多めに入れるようにして働いてた。
　そんなとき近所で変質者が出るという噂が……、
　ちょっと気にはしていたけど、まさか自分がターゲットになるなんて……。

「近頃、変質者が出るから注意してくださいって回覧板が来たのよ。あなた、バイト終わるの遅いんだから、本当に気をつけてね」
　お母さんからそんなことを言われたのは、つい３日前のこと。

　いつもなら、もう本当に心配性なんだからって笑ってすませていたけど、
　今回は中学時代の友達が被害にあったとか、近所の知り合いがスカートに精子をひっかけられたとか、
　実際にあった出来事が噂になって入って来てたから、
　私も怖いなって思っていたんだ。

　でもまさか自分が狙われるなんて、思ってもみなかった。

　いつものようにエレベーターに乗って、ドアがしまる瞬間、男が入って来た。
　同じマンションでは見たことがない顔で、やばいって思ったときには、もう遅かった。
　男は変な叫び声をあげて、私に抱きついて来た。
　もう怖くて怖くて……。

　どうしたらいいのか分からなくって、ただただパニックだった。
　その間にも、男は私の服を剥いでいって……。

　もしかしたらこのまま耐えていれば、誰かが乗って来て助けてくれるかもって思ってたんだけど、
　どうやら甘かったみたい。
　黙っているのをいいことに、男はどんどんエスカレートしていった。

　本当、なんで私なんだろう？　信じられない。



　男が去った後、家にかけこんで、お風呂場に駆け込んで、必死になってシャワーで男の体液を洗い流した。
　でも、汚されてしまった私の身体は、二度と清らかにはならないけれど……。